フォトスタジオを作ってみた! ~その思いと体験記~

こんにちは。ライター兼カメラマンの高北です。

 

ライターだけではメシが食えない。カメラマンだけでは酒が呑めない。そんなチャンドラーのジレンマ的悩みを抱えた私の第3のお仕事、それがフォトスタジオの経営でした。

 

とはいえ、せっかく作るのだから私だけが撮影するのではなく、色々な方に使ってもらいたい

 

そうだ、レンタルフォトスタジオを作ろう!

 

と、そんな流れでフォトスタジオ『Limited time』はオープンしました。

 

ここではイチからスタジオを作るにあたり、私が目指したこと、そして何しろ初めてのことばかりで戸惑いの連続だった体験記をもとに書き進めていきます。

 

 

物件探し

どんなスタジオにしたいのか。

当然のことながら、「フォトスタジオを作ろう!」と決めた時点で、まずどんな場所にしたいのかを考えました。これまで私も色々なフォトスタジオにお邪魔して撮影を楽しんできましたが、「良いな」と思ったスタジオと「ここはちょっとイマイチ」と感じたスタジオ、それぞれがありました。

 

イマイチと感じたスタジオは、やはりどうにも薄暗く、狭い。そしてモノがごちゃごちゃ置いてあって、すっきりとした絵が撮れない。そんな印象です。

 

一方、「良いな」と思った場所は、明るくて広くてキレイ

けっきょく、求めている条件はとてもシンプルでした。

 

そこそこの広さがあって明るいこと。

最低でも30平米はあって、窓は3面採光。

 

これが私が最初に物件を探し始めた時の最低限必要と思われた条件です。

どこにスタジオを構えるのか。

最初に広さと明るさを求めたので、次はどこにスタジオを構えるかを考えなければいけません。

 

正直、都内でその条件を満たそうとすると、ちょっと呆れるほどのテナント料が発生します。そもそもお金がないからもうひとつ仕事を増やそうとしている私に、お金のかかる物件は借りられません。かといって、地方で広大な敷地を見つけたとしても、そんなアクセスの悪そうな場所に誰が来てくれるのか?

 

となると、狙うはやはり地方都市

しかも、都心からも抜群のアクセスを誇る街がいい。

 

実をいうと、この時点でもう、候補はふたつぐらいしかありませんでした。

 

ひとつは埼玉県の大宮。もうひとつは千葉県の松戸

 

大宮の物件は理想に近いものがありました。40平米を超える広さと、部屋の半分以上が窓という明るさ。値段もそこそこ。更に言えば私の住まいもこちらの方が近い。

 

ただ問題は、その物件が建っているのが「大宮でも大宮駅ではなかった」ということ。そこから私鉄で3つほど離れた駅にありました。

 

基本的に撮影スタジオは都内に密集していて、カメラマンさんの多くがそこを目指します。大宮駅だったらまだ何とか呼び込める可能性もありましたが、そこからさらに乗り換えとなると、はっきり言って見込みがあるとは思えませんでした。

 

少し悩みましたが結局は却下。そして残ったのが、千葉県の松戸市の物件

 

 

上野駅から常磐線で20分。この最強のアクセスは見逃せませんでした。

 

撮影スタジオの多い秋葉原からの流入を見込めるうえ、日ごろ千葉や茨城から都内に向かうカメラマンさんたちを堰き止めることもできる。しかも、駅から徒歩4分という立地の良さ。「これだよこれ」。広さとしては34平米。およそ21畳。窓は三面採光。カンペキではなくとも、ほぼ理想通り。

 

あとは、きれいであるかどうか。

 

さて、ここからが、私が物件探しの中でこだわったもうひとつの条件です。

内装工事

スケルトン物件

正直に言っておきますが、『Limited time』の入っているビルはとてもとても古いビルです。築50年ぐらい。はっきりいって、最初の内見ではビビりました。ほぼ、廃墟。

 

ただ、ここは「内装は借り手の好きにして良いよ」という、いわゆるスケルトン物件だったのです。つまり内装工事さえしてしまえばキレイなスタジオに作り替えることができる、ということ。

 

実際、先にビルに入っていた他のテナントさんを見ても、まったく古さを感じさせないものでした。内装工事に多少の資金が必要になってくるかもしれませんが、これなら大丈夫。そう思っていました。

 

ところが、ここで落とし穴。

 

内装工事に必要な資金は多少ではなかった、ということです。これにはおどろきました。別に、すごく気楽に考えていたわけではありませんでしたが、想像をはるかに超える見積もり価格だったのです。

 

いやどうしようか・・・正直、途方に暮れました。

 

 

DIY

とはいえ、いくら途方に暮れたからといって、もはや後には引けない状態です。何しろもう部屋は借りてしまったのですから。

 

そこで思いついたのは、「壁と天井は自分で何とかしよう」ということ。

 

正直、素人がやってショボい感じになってしまったらどうしようか、との不安はありました。

 

ですが当初より自分の頭の中にあった内装イメージというものが、業者さんと話していてもイマイチ伝えきれていない、という印象があったのも事実です。それは業者さんの所為ではなく、自分がそれを伝える言葉を持っていなかっただけなのですが、心のどこかで「自分でやるしかないかな」との思いがあったことが、最終的に決断させたのかもしれません。

 

結果、内装工事費は大幅に削減できました。塗装自体も、それなりに手こずりはしましたが、自分の理想通りの雰囲気に仕上げることができました。

 

 

 

インテリアと撮影機材

インテリア

さて、箱が完成したら今度はそこに入れる中身を考えなければいけません。

 

インテリアと撮影機材です。実は私の中でこの比率、7:3の割合でインテリアを重視しました。

 

撮影機材にかんしては、自分がスタジオに通っていたころもあまり使うことがありませんでした。もともと自然光での撮影が好きだったということもあるのでしょうが、それなりに機能してくれればそこまで必要ない、という印象です。

 

もちろん高機能の撮影機材は、それでなければ写せない絵というものが作り出せます。ですが、そういったものにこだわりを持つカメラマンさんたちは、すでにご自分で良い機材を持っていらっしゃる。

 

そんなわけで、私はインテリアを重視しました。

 

 

こだわった点はふたつ。

 

 

ひとつは、『家具とファブリックのバランス。』

 

 

このスタジオはレンタルスペースとしてだけではなく私が撮影するスタジオでもあるため、男性のお客様がいらっしゃることもあります。そんな時、一般的なレンタルスタジオのように女性モデルさんを撮影することに特化したいわゆる「女の子の部屋」という作りにすることは出来ませんでした。

 

そこで考えたのは、「家具は男性らしい武骨な感じ。カーテンやクッション、小物類を女性らしい華やかな色味に」ということ。これなら簡単に男性のお客様にも対応できます。

 

ちょっとクッションを退けたり小物を動かしたりすればいいだけですから。

 

 

そしてもうひとつ、こちらは初期投資を抑えるという狙いもあったのですが、巨大な家具はレンタルにしています。

 

 

ベッドとチェスト、このふたつは2年で返却する予定でいます。理由は、どんなに広くて明るくてきれいなスタジオでも、ずっと同じではカメラマンさんたちに飽きられてしまうから。

 

2年したらベッドをソファに交換します。チェストも、アップライトのピアノ等に変わるかもしれません。そうやって、スタジオを常に新鮮な状態に保って行きたいと考えています。

 

 

撮影機材

インテリアに比べると、どうしても撮影機材は「必要最低限」といった状態にならざるを得ないのですが、それでも私が仕事で撮影していて困るレベルではない、ということだけはお伝えしておきます。

 

また、それとは別にネット上でLED照明を注文しましたところ、在庫有の商品がいっこうに届かず、1か月近く経って結局キャンセルすることに。すでにスタジオもオープンしてしまっていたため、最初の3日ぐらいはLED照明のない状態になってしまいました。

 

慣れていない通販業者は特に注意することはもちろんですが、必要なモノはなるべく早く注文した方がいいと思います。

 

 

宣伝準備

ホームページ

スタジオオープンに向けての準備はだいぶ整ってきました。次に宣伝をしなければなりません。

 

そこで最も重要になるのがホームページです。何しろこれがなければご予約を受けることもできませんので。

 

最初は業者さんに頼むか、あるいはこの手のことに詳しい友だちにお願いしようかと思っていたのですが、ホームページは頻繁に更新されるべきもの、との思いがあったので、わりと早い段階から自分で何とかしようと奮闘することになりました。

 

ホームページ作成ソフトを購入して、イザ。

 

まず、不慣れなだけに時間が掛かりました。スタジオ準備初期の段階で3日、オープン直前、ネットに繋いでの設定にさらに2日。特に最後がツラかったです。なかなか予約フォームからメール受信にするための設定が分からず、ひたすらネット上で情報をかき集め、ようやく完成。

 

http://photostudiolimitedtime.com/

スペースマーケットとFacebook広告

実はホームページよりも先に登録できてしまって、ちょっと戸惑ったりもしたのですが、「スペースマーケット」への登録も当初から予定していました。

スペースマーケットとは、いわゆる「場所貸し」をしたい私のような人間と、何らかの目的で「場所を借りたい」と思っている人々を繋ぐマッチングサイトですが、膨大な量のスペースを掲載しているため、見に来る方たちも相当な数に上り、宣伝効果はバツグンです。

 

現に掲載後、私のメールにはよく「あなたのスペースが○○さんのお気に入りに追加されました」との連絡が入ります。予約が成立した際、だいぶ仲介手数料を持って行かれてしまうのが残念ですが、スタジオが広く認知されるまでは頼りになる存在かと思います。

 

また、Facebook広告もオープンと同時に打ちました。ターゲットを絞って広告できるのでそれなりに期待はしていたのですが、何故か私のスタジオが「女性を斡旋して金儲けを企てる店」と判断されたらしく、一時的にサービスをストップされたりも。

いや、たしかにモデルさんを紹介したりはしているけど…。
物事は、思いもかけないトラブルがつきものですね。

モデルさんとの提携

モデルさんの話が出たので、最後に当スタジオのモデルさんとの関係性について書かせてもらいます。

 

『Limited time』では、よくある撮影スタジオのようにモデルさんと契約を結ぶ、ということはしておりません。

 

私がそういったスタジオで撮影させてもらっていた頃いつも気になっていたことがあるのですが、「どうして外でモデルさんを撮りたい時までスタジオ代を払わなければならないのか?」という疑問がありました。

 

また、他のスタジオでそのモデルさんを撮りたいと思っても、それが出来ない(させてもらえない)。

 

これはカメラマンさんたちにとっても不便だし、もっと広く活動したいモデルさんたちにとっても枷にしかなっていないのではないか。そんなふうに思っていました。

 

同時に、フリーランスのモデルさんを紹介するマッチングサイトを見ても、やはり仲介手数料を取られます。たしかに、注文する側の身元や素性をキチンと確認してくれるし、事務所に所属しないモデルさんたちからすれば安心なのかもしれません。

 

でも正直、そこでお金を取られてしまうと、撮影時間を短くしないと金銭的に厳しいんだよな、と思うカメラマンさんがいるのも事実です。私もそうでした。

 

なので、目指しているのは、お互いがお互いを宣伝できるスタジオを作ること。

 

 

すでにカメラマンさんのファンを獲得しているモデルさんを撮影させてもらうことで私のスタジオにもメリットはありますし、私の方でもホームページで掲載したり撮影会を企画したりでモデルさんをバックアップできます。

 

もちろん、スタジオを通しての依頼ならばモデルさんの安全に対しても配慮します。それでも仲介料は頂かないつもりです。そして、制約も設けないつもりです。

私のスタジオでは契約ではなく提携、あるいは協力、ぐらいのスタンスでモデルさんとはかかわっていけたらいいな、と考えています。

最後に

ほとんど自分のスタジオの宣伝めいた記事になってしまいましたが、別に他のスタジオが間違っているとは思っていません。他所のスタジオを作られた方にはそのスタジオなりのお考えがあるはずです。

何が正解かではなく、何を求めたか。そしてそれをカタチに出来る喜びこそが、スタジオを作る醍醐味なのかもしれません。

 

スタジオ開業費用の概算

※ここからはふぉーかすスタッフが許可を得て加筆させて頂いております。

 

資金の概算を作成させて頂きました。

 

もちろんこだわった内装・HPにすることでこれ以上の費用になることありますし、逆に不動産賃貸条件や徹底したDIYなどによってこれ以下の費用に抑えることも可能です。あくまで目安として参考にしてください。

 

これにランニングとして不動産賃料や広告費や維持管理費、法人を設立するのであれば登記費用等多くの費用が予想されます。

 

これらを踏まえ「採算合いそう!」「うまく運営する人脈やノウハウがある!」「どこにもないスタジオを作れる!」そんな方は是非、体験談の執筆をお願い致します。

高北 謙一郎

高北 謙一郎

ライター兼カメラマン。2019年10月10日、千葉県松戸市にレンタルフォトスタジオ&フォトスタジオ『Limited time』オープン。

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