表現力をワンランク上げる広角レンズのススメ

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カメラのキットレンズなどによく採用されている標準レンズとは違い、より広い景色を収めることができるため特別感のある広角レンズ。

特に風景写真を撮り始めたビギナーの方からベテランの方まで、幅広い層のカメラマンに人気のレンズです。

 

2本目に買うレンズとして広角レンズを選ぶ方も少なくないでしょう。

自然風景の撮影で使うと人間の目で見た景色よりもより広く写すことができるので、それだけで少し写真が上達した気分にさせてくれます。

 

しかし、広角レンズの扱いは意外に難しく、その特徴を理解せずに使用すると「ただ広く写しているだけ」で少し違和感のある写真に仕上がってしまうことも多々あります。

 

今回は、そんな特別感があり使い方次第で作品をワンランク上げられる広角レンズの特徴とその難しさを解説するとともに、広角レンズを使った写真の事例を紹介していきます。

 

広角レンズの特徴と扱いの難しさ

広角レンズとは、一般的に35mmフルサイズセンサー機の換算で焦点距離35mm以下のレンズを指します。

(実際の使用感としては24mm以下になると広角感がより強調されます。)

 

画角が広くなる=より多くの情報量を1枚の写真に込めることができるので、壮大な写真に仕上がりやすいという特徴があります。

しかし、その特徴にはメリットと同時にデメリットも存在します。

 

画角の広さによる不要物の映り込み

1つ目の特徴は、広角というとおり画角の広さ。そしてその画角の広さゆえに不要な物が映り込んでしまうという難しさがあります。

この写真の場合、主役は間違いなく「桜」で背景に「木造校舎」という構図ですが、右端に人が映り込んでしまっています。

これでは視線誘導を桜へ効果的に持ってくることができず、視界の端に写っている人が気になってしまいます。

 

対策:写真の四隅に注意を配り、自分の立ち位置を変える

 

都度ファインダーで四隅を確認するようにし、不要物が映り込んでいる場合は自分自身の立ち位置・撮影ポジションを変えてみましょう。

広角レンズは写す範囲が広い分、自分が少し動いたぐらいでは大きくイメージは変わりません。

なので、特に四隅に不要な物が写っていないかどうかを確認しながら自分自身が移動し、ベストなポジションをとるようにしましょう。

 

ボケにくく奥行きが出しづらい

2つ目の特徴は被写界深度が深い(ピントの合う範囲が広い)こと。そのためボケにくく奥行きが出し辛いです。

こちらの写真は富山県中新川郡立山町の標高2,405 mに位置するみくりが池。

この写真を見て、この池がどれくらいの大きさなのかわかるでしょうか?

 

実は、このみくりが池は一周の長さがなんと631mもあるのです。そこまで大きな池には見えないですね。

その要因は、奥行き感の無さ

よく見ていただくと、写真の中央より少し左に小さな建物が写っています。

この施設はレストランなども入っている施設なのでそんなに小さな物ではありません。

その様子からも、この池の広さはお分かりいただけると思いますが、第一印象では小さな池に見えてしまいます。

 

対策:奥行きを出したい場合は、斜めの直線を意識する

 

広角レンズで奥行きを出したい時は、斜めの直線を意識した構図にすると良いでしょう。

この東京国際フォーラムの写真のように、手前が大きく写り、奥に行くごとにすぼんでいくような構図にすることで奥行き感を演出することができます。

 

ボケではなく奥すぼみ使って奥行きや立体感を出すことを意識してみましょう。

手前から奥までしっかりとピントを合わせることでより解像感の高い写真にも仕上がるので、F値は8〜11くらいまで絞っても良いでしょう。

 

歪みによって発生する全体像の違和感

3つ目の特徴は、写真四隅が歪むことによって発生する違和感です。

 

こちらは京都の宝泉院。庭園にある大きな松の木が左側へ歪んでしまい、不自然な光景になっています。

実際の松の木は太く力強いのですが、広角レンズの効果によって歪んでしまうため、実際よりも細くいびつな写り方をしてしまっています。

 

対策①:歪むことで不自然になるものは正面から撮る

 

斜めから撮るとどうしても写真の四隅の歪みが目立ってしまいます。これは、線が四隅に向かって行くことでより歪んだように見える視覚効果が働くからです。

 

先ほどの東京国際フォーラムの写真のように、人工物で直線もはっきりしている被写体の場合は「元々そういうものだ」という認識からあまり歪みが気にならないのですが、自然の産物である木が不自然に歪んでしまうとどうしても気になってしまいます。

 

その場合は、奥行きを出すことを気にせずまずは不自然な歪みを生まないように正面から撮ってみましょう。

 

対策②:Lightroomのレンズプロファイル機能で歪みを補正する

 

どうしても斜めの構図で撮りたい場合は、Lightroomのレンズプロファイルで歪みを補正するという方法もあります。

Lightroomの右の編集画面の下の方へ行くと「プロファイル」という項目があります。これは、各メーカーのレンズの特徴があらかじめインプットされており、実際に撮影したレンズを選択することで自動的に歪みを補正してくれるという便利な機能です。

 

この機能を使えば、四隅が流れてしまって不自然な風景写真も歪みが補正されて自然な仕上がりになります。

 

シーン別 広角レンズの活用例

最後に、広角レンズの活用例をシーン別にご紹介します。

建物

撮影地|奈義町現代美術館(岡山県)

 

人工物である建物は線の流れを活かしやすいので、広角レンズ初心者でも手軽に楽しめる被写体です。

実際に私も広角レンズを買った当初は建築物ばかり撮影していました。

 

 

撮影地|彫刻の森美術館(神奈川県)

 

広角レンズのいいところは、狭い屋内でも全体像を捉えて写しきることができるところです。

こちらの写真は円柱状の塔になっていて、壁一面がステンドグラスになっている美術館。下から上を見上げると非常にダイナミックな写真に仕上げることができました。

 

自然

撮影地|吉村家跡防風林の杉(奈良県)

 

自然風景の広角撮影は特に像の歪みに注意して撮影しています。

特に被写体の周りも自然の産物なので、被写体にばかり注意していると不自然な要素を写してしまう原因となります。

 

撮影地|雨竜の滝(高知県)

 

少し斜め構図にした滝の写真。こちらはLightroomのプロファイル機能を使って歪み補正をしています。

ゴツゴツとした岩に覆われた秘境の滝だったので、あえて斜めに写して周囲の岩を入れることで秘境感を演出しています。

 

工場夜景

撮影地|水島コンビナート(岡山県)

 

基本的に工場夜景は望遠レンズを使うことが多いのですが、広角で撮る場合は水面を挟んだ対岸で撮影するという方法が幻想的でおすすめです。

横一直線で工場を並べて水面に反射させることでこのような写真になります。

 

Lightroomのレンズプロファイルで歪みを補正することで全てがまっすぐな写真に仕上がります。

 

撮影地|京浜工業地帯 千鳥貨物ヤード(神奈川県)

 

反対に、近づいて撮影できるような工場の場合だと少し見上げるようにして撮影することで空や雲を一緒に入れることができます。

この工場の場合、手前の線路も一緒に写すことで斜めのラインを作り奥行きも演出しています。

 

遠景夜景

撮影地|六本木ヒルズ(東京都)

 

遠景で夜景を撮る場合、明るい街の様子を映し出すダイナミックな絵作りは非常にきれいです。

 

実はこの写真では、レンズの歪みをそのまま効果的に使ってあえて地平線の歪みをそのままにしています。

そして、ホワイトバランスを寒色寄りにして明かりを青色にすることで、この電気の街を地球の表面に見立ててみました。

 

撮影地|オリックス本町ビル(大阪府)

 

高速道路を車が走っていく様子を広角レンズで撮影。長秒露光で車のライトを引き延ばすことで、オレンジ色の高速道路に光の筋が何本も引かれるという写真を撮ることができます。

 

ずっと奥まで続いていく高速道路のラインを写しきることができるのも、広角レンズならではの絵作りです。

 

広角レンズの効果を活かすことで、一味違った表現を作る

広角レンズは人間の目の画角に比べて圧倒的に広く映るため、新鮮な印象を受けます。

その特徴を活かして幻想的な写真を撮るためには、違和感のある不自然な要素を省きつつも普段では見られないい光景を作る必要があります。

 

そのためには

・自然界での写真四隅の歪みの排除

・余計なものの映り込みの排除

・構図を使った奥行きの演出

この3つを意識して効果的に撮影することが大切と言えます。

 

その他参考記事

[sc name=”3318_lens_select_method” ]

[sc name=”2335_henshu_soft_photoshop_lightroom_luminar” ]

[sc name=”2613_retouch_rittaikan” ]

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