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仕事と家庭、私たちの日々の生活にはストレスがつきものです。
そんなストレスから解放されるように自然風景の写真を撮りに行くという方も多いでしょう。
実際に自然の中に身を置くと癒しを得られる気がしますよね。でも、それがなぜなのかはあまりよく知られていません。
今回はいつもの記事と少し趣向を変えて、自然風景がもたらす創造力と癒しの力、そして風景写真がもたらす力について研究内容の紹介と合わせて解説します。
「風景写真」を6分間見たら、脳が変わった
PEAK PERFORMANCE 最強の成長術(ブラッド・スタルバーグ/スティーブ・マグネス-著)に「風景写真を6分間見たら、脳が変わった」という興味深い事例の記載がありました。
レオナルド・ダヴィンチやダーウィンなど、大自然からインスピレーションを得て新しいものを創造した偉人も多いようなのですが、その秘密を探るためにミシガン大学の心理学者マーク・バーマン博士は2008年、自然と創造力の因果関係を調べる実験を行いました。
参考:PEAK PERFORMANCE 最強の成長術(Amazonリンク)
自然と創造力の因果関係
バーマン博士は学部生を2つのグループに分け、高度な集中力のいる認知課題を何問もやらせました。
その間、
1つのグループには自然あふれる公園で
もう1つのグループには騒がしい市街地で
それぞれ1時間の休憩を取らせました。
すると、休憩後の認知課題では公園で休憩を取ったグループの方が好成績を収めたのです。
その後、「自然風景の写真をみる」という行為に置き換えても同様の効果がでるのかという実験が行われました。
同じ学部生の2つのグループに、認知課題の途中で休憩を挟み6分間写真を見せました。
1つのグループには自然風景の写真を、もう1つのグループには市街地の写真を見せました。
■自然風景
■市街地
すると、その後の認知課題では前の実験時、公園で休憩したグループと同様に自然風景の写真をみたグループの方が好成績を収めたのです。
確かに上の写真を見比べていただくと、自然風景の写真の方がリラックスができ、市街地の写真の方が逆に疲れを感じるような気がします。
風景写真のもう一つの効果
自然風景の写真を見るだけでも想像力が向上することがわかりましたが、同書では風景写真のもう一つの効果についても言及されています。
それはストレスの軽減です。
「オフィスワークで疲れたら少し外を散歩しよう」
そんな話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
実は、外を歩くにしても市街地よりも公園などの自然がある場所の方がストレス軽減になります。
それは写真でも同様の傾向が現れるのです。
ストレス社会にこそ必要とされる風景写真
人間は自然に触れると、炎症との関連が疑われるインターロイキン-6(IL-6)というホルモンの分泌量が減って慢性炎症を予防できるようです。
つまり、リハビリなどで公園を歩いたりするのは、実は科学的にも効果があるということです。
創造性を高めるだけでなく、慢性炎症まで予防できるとは驚きです!
慢性炎症予防=ストレス軽減にも繋がるようですね。
本書によると「大自然に触れることで畏怖の念を抱き、いろんなことがちっぽけなものに思えてくる。その結果、ストレスが軽減されるのではないか」とのこと。
これからは観てくれる人に癒し効果をもたらす風景写真を意識して撮りたいなと思う一方、フォトグラファーとしてはその先にも気になることがあります。
広角と標準、どんな写真が効果的か
大自然に触れると創造力の向上とストレス軽減ができることがわかりました。
では、具体的に「写真」で表現する時に、広角レンズの写真がいいのか、標準レンズの写真がいいのかという議論が頭に浮かんできます。
広角で撮るとダイナミックに表現できるので「ザ・大自然!」と言わんばかりの風景写真になります。
これはすごくリラックス効果が期待できそうな雰囲気です。
一方、標準レンズで撮ると「人間の目の画角とほぼ同等の景色」の風景写真になります。
実際にその場にいる感覚を味わうのなら標準レンズの方がリアリティが出るのか?
いくつか写真を見てみましょう。
広角写真による壮大さ
非現実に見え、創造力を高める大自然の広角写真。
市街地ではなく自然風景で効果を発揮するため、シチュエーションはできる限り人工物がない自然がいいでしょう。
広角レンズは画角が広く、より多くのものを写してしまうので、人工物をできる限り避けるために山や海などの開けた場所がおすすめです。
「自然に対して畏怖の念を抱くことで、いろんなことがちっぽけに思えてIL-6の分泌量が減る」という研究内容からも、広角で壮大な写真が効果的だと思われます。
写真を見る場合はできるだけ大画面で見るとより脳内にイメージが残るのでおすすめです。
標準写真によるリアリティ
人の視野角に近いリアリティを持つ癒しの風景写真
その場にいるかのような感覚にしてくれるのが標準レンズで撮影した写真
山や海などの開けた場所での標準レンズ撮影だと被写体が小さくインパクトが出づらいので、森や滝など被写体の周りにも多くの要素が配置されたシチュエーションがおすすめ。
風景写真でストレス低減法
写真が大好きな皆さんにとっては風景写真を見るという行為は日常茶飯事だと思いますが、実際にはスマートフォンの画面でチェックすることが多いはず。
ストレスを低減するためにはより自然を体験する必要があります。スマートフォンの画面だと小さくて掌サイズの域をでないので、ここではおすすめの方法をご紹介します。
パソコンの壁紙にしてみる
一番おすすめなのは風景写真を普段仕事で使用しているパソコンの壁紙にすることでしょう。
ウインドウを閉じればいつでも風景写真を眺めることができます。
自分で撮影した風景写真を設定してもいいですし、フリー素材のサイトから写真をダウンロードして設定してもいいでしょう。
O-DANというサイトでは、海外のフォトグラファーがフリー素材として様々な写真を提供してくれています。
日本では撮影できないような美しい風景写真がたくさんあるので、気分転換にもおすすめです。
フォトグラファーの写真をパソコンに表示してみる
日本の風景でお気に入りの写真を探すならやはりインスタグラムやツイッターなどのSNSがおすすめです。
好きなフォトグラファーの写真を大画面表示することで癒しを得ることができます。
著作権法では2020年7月現在、家庭内で仕事以外の目的のために使用するためであれば複製は認められていますが、仕事共用のPCであったり法改正に気付かなかったり不安であれば都度フォトグラファーさんのHPやSNSにアクセスすることをお勧めします。
(参考: 文化庁『著作物が自由に使える場合』)
フォローや投稿のブックマーク機能などを活用しましょう。
ポスターなどにプリントアウトして飾ってみる
自分で撮った写真をポスターやタペストリー等に印刷して壁に飾るという方法もあります。
写真の大型印刷はフォトグラファーのひとつの夢ではないでしょうか。
ポスターへの印刷ならば液晶画面を通さず生で見ることができるので眼球への負担も軽減されます。
在宅ワークをしている人ならいつでも自然の癒しを得ることができますね。
また、夜寝る前など疲れが溜まった状態には脳が無意識状態になり、創造力が高まる傾向にあります。
シャワーを浴びているときに新しいアイデアを思いついたことがあるという方も多いでしょう。
寝る前に大きく印刷した風景写真のポスターを見ながら創造力を掻き立てるというのも、有意義な時間の使い方ではないでしょうか。
ポスター、タペストリー印刷はパネル印刷とは違って意外と安く、大手の印刷窓口でもA1サイズで2,000円前後〜となっています。
まずはお試しで1枚印刷してみたいという方はぜひお試しください。
ポスターで印刷した写真を額縁に入れると、より雰囲気が出ます。
UVカットタイプなら中の写真も長持ちするかと思います。
ポスターよりも額縁の方が全然高い!なんてことにもなりかねませんが、入れ替えることを考えると初めにそれなりに良い額縁を用意することをお勧めします。
科学的に研究されている風景写真の癒しとパワー
自然風景には人間を癒し、創造力を高める不思議な力があります。
普段から風景写真を楽しんだり、自然風景の中でポートレートを楽しんでいる方にとってはいつものことではありますが、効果があることを知っているのと知らないのでは、実際に得られる恩恵は変わってきます。
普段何気なく過ごしていた自然の中の散歩でも、少し立ち止まってその場の空気を吸って深呼吸してみてください。
仕事に疲れたら、お気に入りの風景写真を眺めながらゆったり過ごしてください。
少しの時間でも、あなたを癒してくれる力になってくれることでしょう。
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