海の表情を知ると写真表現の幅が広がる話

Photographer

しばらく自粛生活が続いて室内で過ごしている間に、急に気温が上がってきましたね。
いつの間にか夏がやってくるようです。

さて、夏といえばみなさん何を想像するでしょうか?

 

夏休み

河原でバーベキュー

旅行

流しそうめん など…

 

いろんなイベンドがありますが、写真という趣味をさらに楽しく加速させてくれる被写体があります。

 

それが「海」です。

 

海は地球の約70%の面積を占める広大な被写体。自然風景撮影をするにあたって、海と向き合わないわけにはいきません。

そんな海は、撮影する時間帯によって写真に様々な表情を残してくれます。

今回の記事では、時間帯別で見られる海の表現の違いについて解説していきます。

 

用意する物

今回の記事ではレンズのスペックや焦点距離については触れません。

構図はみなさん自由に決めてください。

 

ただし、2つだけ大切なアイテムがあります。

可能であればこれらを準備いただくことでより表現の幅を効かせることができるでしょう。

 

PLフィルター

 

PLフィルターとは、の反射を抑えるレンズフィルターです。

海は太陽の光を強く反射する被写体なので、PLフィルターがなければ太陽が登った後は光で白飛びしてしまう箇所が多数発生することになります。

それもそれで味がありますが、キラキラとした水面しか撮れなくなってしまいます。

 

今回は早朝の撮影にPLフィルターを使用しています。

 

最近ではスマホ用のPLフィルターもある様なので是非試して見て下さい。

 

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三脚

 

今回ご紹介する海の撮影は早朝や夕方など暗いシーンでの撮影が多いので三脚は必須となります。

波を流す表現をするためにはそれだけシャッタースピードを遅くする必要があるので、手持ち撮影では不可能となります。

 

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ではここから、本題に入ります。

早朝

 

早朝の撮影の利点は気温が低く蜃気楼が起こりづらいため景色が歪まないこと、空気中の砂埃や塵が少なく遠くまでクリアに見渡せることです。

そのため、写真の表現も非常にシャープでクリアな写りになり、水平線までしっかりと見渡すことができます。

 

それに加えて海の場合は波も徐々に強くなってくる時間帯なので、シャッタースピードの調整次第で様々な表現を楽しむことができるようになっています。

 

鮮やかな色の表現

 

日の出直前、太陽が水平線に昇るちょうどその瞬間、空はオレンジに、海は紫に染まります。

この光景は早朝ならでは。

様々な波の表現

 

早朝の海は日の出前は穏やかだった波が徐々に強まっていきます。

 

そのため、シャッタースピードを少し遅くすれば水を絹や雲のように表現することができ、逆にシャッタースピードを早くすれば荒々しい水しぶきを表現することもできます。

 

 

ここまで掲載した3枚の写真は高知県・室戸岬にて早朝に撮影したもの。

この絹のような質感に波の荒さを少し残したような表現は、シャッタースピード1秒で設定することで実現しています。

 

コツは、波の動きを見て実際に浜辺のぶつかる瞬間に合わせること。

波の速さはその日によって変わるので、何度もチャレンジしてシャッタースピード1秒の間に波が浜辺にぶつかるよう調整してみてください。

 

 

太陽が水平線から上がってきました。先ほどとまったく同じ場所で撮影していますが、全体的な色が全く異なります。

水平線から上がってくると、全体的に太陽のオレンジ色の光が行き渡るようになり、次第に波も荒くなってきます。

 

ここでは、波の荒さをさらに引き立てるためにシャッタースピードを1/5秒にしています。

日中

 

日中の景色全体をよく見渡せるので、いろんな被写体を入れることでバラエティ豊かな写真を撮ることができます。

空や島など、海にフォーカスするよりも海をアクセントとして位置付けることで壮大な写真に仕上がります。

 

様々な浜辺の表現

 

こちらは浜辺から離れて望遠レンズで海を撮った写真。

望遠レンズの圧縮効果で遠近感がなくなり、空・海・砂浜が綺麗な層になっているように見えます。

 

 

海ではなく、浜辺の石にフォーカスすることで太陽の光を受けて白く輝く海を背景ボケに配置するという方法もあります。

波で濡れた石たちもキラキラと輝きます。

薄暗い状態だと後ろの海が黒く写ってしまうため、こういった表現は日中の海ならではとなります。

 

海以外の要素を盛り込んだ表現

 

海といえば「島、魚、船」など連想できるものはたくさんあります。

 

今回は船にフォーカスを当ててみました。

この写真は鳴門にある「渦の道」という渦潮を真上から見ることができる橋から撮影したものです。

 

あえて柵を前ボケとして使用することで、遠くから海を眺めているシーンを想像できるようにしています。

夕方

いよいよ1日の終わりを告げる夕陽と海の写真です。

沈んでいく夕日は一気に周囲を暗くしていき、全体を濃いオレンジ色に染めていきます。

 

早朝とは違って空気は少しぼんやりした印象になるので、よりノスタルジックな雰囲気に浸ることができます。

 

夕焼け空と海の表現

夕焼け空が嫌いな人はほとんどいないでしょう。

1日の終わりを噛み締めて眺めることができる、最も感情変化の波が激しくなる時間帯です。

 

夕日は朝日に比べると光が弱い傾向にあるので、全体的に淡い写真に仕上がります。

そして、水平線と空の境界も溶け合っていきます。

 

どこか高台から眺めて撮ると、少し切ないノスタルジックな写真になります。

 

太陽が沈む瞬間の表現

夕日の海は海だけにフォーカスする「達磨夕陽」は弱い光をまとって水平線に沈んでいくこの時間帯だからこそ見られる光景です。

運良く雲が掛からず天気が良ければお目にかかることができます。

 

インパクトのある写真ですが、焦点距離が短いと海全体が広く写ってしまい達磨夕陽が小さくなってしまいます。

水平線はかなり距離がありますので、200mm以上の望遠レンズでの撮影をオススメします。

 

日没直後の色表現

日が沈みきった直後数分間は全体的に太陽の光がまだ少し届いている時間帯。この頃になると全体的に薄ピンク色の景色となり、他の時間帯には見られないような光景になります。

 

海面を表現できる最後の瞬間です。

 

夜の海は暗く、光源がないと綺麗に撮ることができません。

光がないとISO感度を上げて無理やり撮影するしかないので、ノイズだらけの写真となってしまいます。

 

しかし、月の明かりが出ている夜や街の明かりなどがあれば、十分美しい写真を撮ることができます。

 

工場夜景の光を利用した表現

夜の海は余程空気の澄んだ日の月明かりの元で撮影するか、工場夜景の光を使うかという選択肢になります。

 

比較的安定して撮りやすいのはやはり人工的な光である工場夜景を使ったもの。

海に水面反射する工場の光は広角レンズで撮ると壮大な仕上がりになります。

 

月の光だけが映し出す海の表現

月明かりに照らされた海もまた魅力的です。

真っ暗な中で微かに光る月が海面を一筋だけ照らす光景を収めることができます。

光が極端に少ないため、高感度耐性に強いカメラを使用することをお勧めします。

 

海の表現は1日で刻々と変化する

ご覧いただいたように、海の表情は時間帯によって大きく異なります。

シャッタースピード、写真に収める被写体、空と海との比率、時間帯別に異なる気候の特徴など、海の撮影はまさに写真の総合格闘技のようなものです。

様々な技術を使ってその時々に最適な表現を追求してみてください。

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