ようやく緊急事態宣言が解除されて密を避けながらも少しづつ撮影に出かけていらっしゃる方もいるのではないでしょうか。
ジトジトとした雨が続く中、久々に日の目を見たカメラたちを労る為に、またしばらく眠っていたカメラを起こすための準備としてメンテナンスをしてあげましょう。
特にこれからの季節、撮影時の急な雨に見舞われたり高温多湿な環境で使用することが多くなるので、こまめなメンテナンスを推薦します。
メンテナンスを怠ってしまうとホコリや結露、カビが故障の原因となり、高額な修理費かかってしまう可能性があります。
とはいえ、毎回メーカーの窓口に持って行ってメンテナンスに出すのも手間ですし、お金もかかりますよね。
そこで今回は、自宅で簡単・ローコストでできるカメラのセルフメンテナンス方法について詳しく解説していきます。
筆者推薦カメラのセルフメンテナンスアイテム
メンテナンスを始める前に準備物を整理しましょう。
【使用アイテム】
IPA(イソプロピルアルコール)
IPA(イソプロピルアルコール)は汚れ落としの強力なアルコールです。
主にガラス面などをクリーニングする際に使用します。
市販のクリーニング液でもいいのですが、汚れを落とす洗浄力が段違いに高いのでこちらを使用しています。
今流行のスマートフォンのガラスコーティングなどでも、事前準備として汚れを落とす為に使用されています。
カメラでは主にレンズ面、ディスプレイに使用します。
アルコールですので火気厳禁、取り扱いにはご注意ください。
◆参考:IPA(Amazonリンク)
アトマイザー
IPAを霧状に吹きかける為にアトマイザーを用意します。
アトマイザーはアルコール対応のタイプと非対応のタイプがあるので注意してください。
必ずアルコール対応のものを用意しましょう。
100円均一ショップでも購入可能ですが、「香水対応」のものを選ぶと良いでしょう。
◆参考:Teenitor アトマイザー(Amazonリンク)
イメージセンサークリーニングスワブ+クリーナー
センサーをクリーニングするための重要なアイテムです。
通常、センサークリーニングはデリケートなのでメーカーに依頼する方が無難ですが、自宅でも簡単に手入れができるように専用のクリーニングキットが販売されています。
「スワブのみ単品」と「クリーナーセット」の2種類が販売されていますが、最初はクリーナーセットを用意することをお勧めします。
セットに含まれるクリーナーはイメージセンサーにも使える※アルコール不使用のナチュラルタイプです。
※イメージセンサーは写真を生成するための重要なパーツになるので、クリーニングの際は絶対にアルコールを使用しないようにしてください。
センサースワブと呼ばれる棒状のものは、先端がヘラのようになっていて、センサーのサイズとぴったり一致するようになっています。
フルサイズセンサー用、APS-C用など種類がありますので、購入の際は間違えないように注意してください。
◆参考
■フルフレームセンサースワブ+センサークリーニング液セット(35mmフルサイズセンサー用 Amazonリンク)
■APS-Cセンサースワブ+センサークリーナーセット(Amazonリンク)
ナチュラルタイプのクリーニング液
センサークリーニングのスワブにつけるためのクリーニング液です。
イメージセンサーはデリケートな部分になるので、絶対にアルコール未使用のものを使用してください。
スワブを単品で購入した場合は、必ずアルコール不使用のものを別途用意するようにしましょう。
◆参考:レンズクリーナー スーパーマルチクリーナー(Amazonリンク)
エアダスター
カメラに付着したホコリや砂などを安全に吹き飛ばすためのスプレーです。
持ち運びの観点から手動のブロワーを使用する方も多いと思いますが、手動のブロワーは内部に空気を吸い込むときに一緒にホコリも吸い込み、そのままカメラに吹き付けてしまうこともあるので、エアダスターで綺麗な空気を吹きかける方がより確実に綺麗にすることができます。
◆参考:エレコム エアダスター ECO(Amazonリンク)
無印良品の携帯用メガネ拭き
何かと便利で役に立つのが無印良品の携帯用メガネ拭きです。
スマートフォンの液晶フィルムなどを購入すると一緒についてくるあの白いクリーナーの大きい版が14枚入って100円もしないというお手軽さ。
常にカバンに忍ばせておいて、汚れたらサッと拭き取ることができます。
綿棒
カメラの表面は様々なボタンや持ち手などの溝があるので、そこに汚れが溜まりやすくなります。
その中でも刺激を与えたくないデリケートな金属部分などを綺麗にする為に、柔らかい綿棒を使用します。
◆参考:綿棒一覧(Amazonリンク)
歯ブラシ(やわらかい)
こちらも綿棒同様、こまかい溝などを掃除する為に使用します。
主に、ボディの外観などの汚れに対して使っていきます。
ブラシが硬いと傷をつけてしまうので、必ず柔らかいタイプを選んでください。
カメラのメンテナンス〜ボディ編〜
まずはボディのメンテナンスから始めていきます。
【ボディのメンテナンス箇所一覧】
イメージセンサー
センサーが汚れるのは主にレンズ交換のタイミングです。
ここにホコリや汚れが付着してしまうと写真に映り込んでしまうので大変です。
常に清潔に保つようにします。
<使用アイテム>
(必要に応じて ↓ )
まず最初にセンサークリーニングから始めます。
基本的に目立った汚れがなければエアダスターでホコリを飛ばすだけで大丈夫なのですが、どうしても気になる汚れがある場合はスワブで丁寧に拭き上げていきます。
スワブの片方にだけノンアルコールのクリーニング液をつけて左から右へと拭いていきます。
汚れが落ちたら反対側のクリーニング液がついていない方で乾拭きして仕上がりです。
電子接点
意外と見落としがちなのが電子接点です。(金色の点々の部分)
レンズとマウントを接続して電気信号をやり取りするための部品で、ここが汚れていると正常に動作せず、オートフォーカスが狂ったりF値の変更などカメラ側で操作した情報が連動しなくなってしまいます。
いざと言うときに故障のような症状が出てしまう原因にもなりますので、こちらも綺麗にしておきましょう。
<使用アイテム>
・綿棒
電子接点は綿棒で汚れを落としていきます。
基本的にホコリがつく程度だと思うので、サッと拭き取っていきましょう。
ファインダー
ファインダーはカメラマンが景色を覗くための大切な窓です。
小さいからこそホコリが溜まりやすく、気付けば結構汚れているということも多々あります。
<使用アイテム>
・IPA
・綿棒
ファインダーを清掃するには、まずアイカップを取り外します。
そして、ファインダーに付着したホコリをエアダスターで吹き飛ばし、IPAを吹きかけた綿棒で丁寧に拭き上げていきます。
最後に何もつけていない綿棒の反対側で乾拭きして仕上がりです。
アイカップのゴム
目を直接当てる部分なので、皮脂の汚れや女性ならファンデーションなどで汚れてしまいます。
ここも毎回綺麗にしてあげましょう。
<使用アイテム>
・IPA
ゴム部分はIPAを吹きかけた無印のメガネ拭きで隅々まで丁寧に磨いていきます。
背面液晶
背面液晶は汚れがわかりやすいポイントなので、真っ先に拭き上げる方も多いでしょう。
<使用アイテム>
・IPA
背面液晶はスマートフォンの画面清掃と同じ要領で無印のメガに吹きにIPAを吹きかけて綺麗に拭いていきます。
最後にIPAがついていない部分で乾拭きをしましょう。
液晶の裏
見落としがちな液晶の裏側。背面液晶がチルトするタイプなら、裏面にも注意しましょう。
意外にも砂埃や水滴が残ってしまっていることがあります。
<使用アイテム>
・歯ブラシ
・IPA
まずは歯ブラシでホコリや砂などの細かい付着物を除去。
その後、IPAを吹きかけた無印のメガネ拭きで丁寧に拭き上げていきます。
モード切り替えツマミのスキマ
カメラにはこのような清掃しづらい細かな溝がたくさんあります。
砂埃などが詰まってしまうと動作不良の原因となるので、注意しましょう。
<使用アイテム>
・歯ブラシ
まずは歯ブラシで丁寧に取り除いていきましょう。
最後の仕上げとして、エアダスターで細かいホコリを除去します。
キャップの溝
ここも意外と気づかないポイントです。
普段滅多に開かないキャップであっても、いつの間にか砂ぼりが侵入してしまうことがあります。
メンテナンス時には必ず一度開けてみて様子をみてみましょう。
<使用アイテム>
・歯ブラシ
キャップを開けて中を確認しましょう。
ホコリが溜まっていないようならそのまま閉じて大丈夫です。
意外と溝の部分にホコリがたまりやすいので、歯ブラシで丁寧に取り除いていきます。
このとき、端子を傷つけないように注意してください。
どうしても取れないゴミが挟まっている場合は無理せずメーカーに持っていきましょう。
キャップが半開きになっていると水が侵入して故障してしまう原因となるので、清掃後を確実にパチっとハマっているかどうか確認しましょう。
グリップ
カメラの中で最も触れる時間が長いのはグリップです。
手の汚れなどが一番付着する場所なので、念入りに手入れしてあげましょう。
<使用アイテム>
・歯ブラシ
・IPA
手垢が一番つきやすく、黒いボディのものが多いので、汚れが本当に目立ちにくくわかりづらい。
そのため、無印のメガネ拭きにIPAをつけて磨いてみると、驚くほど汚れが落ちることがあります。
常に触れるところだからこそ、念入りにお手入れしましょう。
素材がラバーになっていてメガネ拭きの繊維が残ることがあるので、その場合は最後に歯ブラシで繊維を取り除いていきます。
カメラのセルフメンテナンス〜レンズ編〜
レンズは特にガラス玉などデリケートな部分が多いので慎重にお手入れしていきます。
【レンズのメンテナンス箇所一覧】
前玉
レンズの中で最も重要なガラス部分。特に前玉は撮影時にずっと剥き出しになっている箇所なので、ホコリや砂などがよく付着するポイントです。
何よりもまずここから掃除を始めます。
<使用アイテム>
・IPA
・歯ブラシ
前玉を傷つけてしまうと取り返しのつかないことになるので、以下の手順を守って清掃してください。
1.表面を拭く前に必ずホコリをエアダスターで吹き飛ばす
万が一細かい砂が付着していた場合、そのまま拭いてしまうと砂がレンズの表面を傷つけてしまう恐れがあります。必ずホコリや砂を吹き飛ばしてから次のステップに進みます。
2.IPAを吹きかけた無印のメガネ拭きで中心から外側へ円を描くように拭いていく。
拭きムラが残ると写りに違和感が出てしまうため、確実に前面を均一に服用にします。
レンズは基本的に球面なので、頭頂部である中心から外側へグルグルと回しながら拭いていくと綺麗になります。
3.無印のメガネ拭きで乾拭きをする
IPAの水滴が残ったままになっているので、水痕が残らないように乾拭きします。この時も、②と同じ要領で中心から外側へグルグルと拭いていきます。
4.レンズの縁に残っている細かなホコリは歯ブラシで丁寧に取る
エアダスターで飛ばしきれない小さなホコリは歯ブラシで丁寧に取り除いていきます。このとき、絶対にレンズを傷つけないように注意しましょう。
後ろ玉
レンズ交換の際に剥き出しになる後ろ玉も汚れが付着するポイントです。
ここが汚れているとセンサーと同様にゴミの映り込みなどが発生してしまうので念入りにチェックしておきましょう。
<使用アイテム>
・IPA
後ろ玉も前玉と同様の方法で綺麗にしていきます。
ただし、前玉と違って後ろ玉はレンズ内部に繋がる空洞が剥き出しになっているものも多いので、水滴が中に入ってしまわないようにIPAの量を減らしておくことをお勧めします。
電子接点
レンズ側の電子接点もボディ側と同様にここが汚れていると動作に異常をきたす可能性があります。
<使用アイテム>
・綿棒
レンズ側の電子接点もボディ側と同様に基本的にホコリがつく程度だと思うので、サッと拭き取っていきましょう。
リング部分のラバーゴム
レンズのズームリングやピントリングは基本的にゴムでできており、回しやすいようにギザギザに溝が入っています。
ここにホコリがよく溜まってしまいます。
<使用アイテム>
・歯ブラシ
ギザギザのラバーゴム部分は特に夏場の海での撮影だと砂埃などを浴びてしまうことがあるので、念入りにお手入れしておきましょう。
まずは全体的にエアダスターでゴミを飛ばし、それでも取りきれないしつこい汚れは歯ブラシで取り除いていきます。
レンズの筒内部
ズームしたときにレンズが飛び出すタイプのものであれば、筒の内部も綺麗にしておきましょう。
ここに汚れが付着していると中に汚れが入り込み取れなくなってしまう可能性があります。
<使用アイテム>
・IPA
・歯ブラシ
ボディと同様にIPAを吹きかけた無印のメガネ拭きで丁寧に拭いていきます。
万が一隙間にゴミが挟まっている場合は歯ブラシで取り除きましょう。
エアダスターを使うと奥に入り込んでしまう恐れもあるので、歯ブラシで丁寧に取り除いた方が無難です。
レンズキャップ
レンズキャップは特に裏側に注意してください。
キャップの裏にホコリや汚れが付着していると、せっかくレンズの前玉を綺麗にしてもそのホコリがレンズについてしまいます。
<使用アイテム>
・歯ブラシ
エアダスターで吹き飛ばしたあと、どうしても取れないものがあれば歯ブラシで取り除きましょう。
レンズフードの裏
レンズフードの裏側はピントリングと同様に溝が入っていることがあります。
ここも汚れがたまりやすいポイントですので、チェックしておきましょう。
<使用アイテム>
・歯ブラシ
レンズフードの内側は溝になっていたり滑り止め素材になっていたりとフードによって様々なので、素材に合った方法で綺麗にしてください。
基本的には歯ブラシが役に立ちます。
日頃からこまめなメンテナンスを心がけよう
カメラは精密機械です。
撮影という環境に耐えられるようにある程度頑丈に作られてはいるものの、やはり日々のメンテナンスは非常に重要です。
野外での撮影はもちろん、室内での撮影でも意外なほどカメラは汚れてしまうものです。
本体に付着した細かい砂埃を放置して固まってしまうと正常な動作ができなくなります。また、室内から屋外への急激な温度変化によって内部が結露してしまうという事態も起こり得ます。
そうなってしまうとせっかく買ったカメラを台無しにしてしまうことになりますので、正しいメンテナンス方法を身に付けて自分でできるとことはこまめに手入れしていきましょう。
そして、自分ではどうしようもないと言う部分はメーカーの窓口に頼るようにしましょう。
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