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今回は光を利用したテクニックをご紹介します。
カメラは、レンズを通して撮影素子(イメージセンサー)に光を焼き付けるという仕組みをしています。
だからこそ、光を理解すると写真が変わります。
写真が決まらなくて困った時は是非活用してほしい即席テクニックです。
今回は
・フレア/ゴースト
・丸ボケ
・内蔵ストロボ
の3つについて話します。
フレア/ゴースト
強烈な光源の光をレンズで写した時にレンズ内で反射が起こり実際に目には見えない光が写真に写る現象を指します。
記録というよりは記憶に近いような写真になり、幻想感がプラスされます。
フレアとは上の写真でいうところの下部分にある光の漏れのことです。
円や楕円といった形になって現れる光をゴーストと呼びます。
昔はフレアやゴーストはなるべく抑えた方がいいものとされてきました。
レンズメーカーはフレアやゴースト防止に力を入れ、以前よりもハレ切り(強い光を直接レンズに入らないようにすること)などにそんなに気を配らなくてもよくなりました。
しかし現在はオールドレンズを使ってあえてフレアを発生させるフォトグラファーも増えてきました。それはフレアやゴーストを表現の一つとして考えているからでしょう。
ただ、この記事ではオールドレンズには手を出しません。
飽くまでも即席のテクニックですので、
・よくあるレンズで
・どうフレアを作るのか
に焦点をあてていきます。
フレアやゴーストを発生させるコツとしては
・露出補正はオーバーにすること
・逆光で撮ること
・絞りは開けて光を入りやすくすること
この3つです。
逆に、フレアやゴーストを回避するにはその反対を行えばいいというわけです。
フレアやゴーストを発生させない撮影
まずは露出補正アンダー+順光で撮影↓
このように露出補正アンダー+順光で撮るとフレアやゴーストは発生しません。
フレアやゴーストがないことで物体や風景をはっきりと見せることができます。
なので鮮明に見せたいときは、露出アンダー+順光で撮ればいいのです。
しかし順光は妙に現実感があると言いますか、生っぽい印象になります。
写真も平面的になってしまうというデメリットもありますが、このような現実の風景を変えてくれるのがフレア、ゴーストです。
フレアやゴーストを発生させる撮影
次はフレアを狙った写真↓
ここでは光が全体に回り込み、淡い光のベールが全体にかかっているようなフレアが発生しています。
オートで撮影している場合、太陽自体を画面の中に入れると露出がアンダーになりやすいので注意が必要です。
※太陽が明るすぎるため、カメラが適正露出を下げ全体が暗くなってしまうので、露出補正は1段もしくは2段くらいオーバーにしてもOK。
上のカラスをみると、丸いゴーストが発生しているのがわかります。
これはドラマでも記憶に残って欲しいシーンで多用されます。神々しいイメージになり印象に残りやすい効果があります。
フレア撮影の失敗例
風景を露出アンダーで撮影。
全体が暗く、太陽の形が丸く見えてしまっています。
人間は一番明るいところに目がいってしまう癖がありますので、風景よりも太陽の方へ先に目がいってしまいます。
この場合、風景写真として成立させるには太陽は外すもしくは明るくして白飛び気味にさせる方が無難でしょう。
※余談ですが、以前写真の授業で「太陽を被写体にするな」というような意味のことを言われました。
今なら何を言っているのかがわかる気がします・・・。
それと、レンズは事前に綺麗にしておくことをおすすめします。
レンズの表面に付着したゴミや汚れは逆光だと目立ちます。
必ずブロアーで埃を飛ばしたり、カメラ用のアルコールで拭き取るようにしましょう。
フレア、ゴーストについてのまとめ
・露出補正はオーバー
・逆光で撮ること
・絞りは開けて光を入りやすくすること
・太陽はずらす、もしくは飛ばす
・レンズの埃やゴミは取ってから撮影
丸ボケ/光芒
丸ボケは、ライトや水滴の反射などスポットの光が丸くぼける映像的な表現の一つです。これが入るとグッと写真が映えます。
丸ボケも人間の目では見えてこない現象です。だからこそ現実との乖離が生まれ、フォトジェニックにもっていくことができます。
上記の写真では街灯一つ一つがスポットの光です。
このスポットの光源がボケたときに丸くなり肥大化してボケます。これが丸ボケです。
写真が決まらないなと思った時は積極的に丸ボケになりそうものを背景に入れ込んでみましょう。
そうするとなんとなく形になっていく、と私は思っています。
形になった上で自分の表現をプラスしていけば、撮影がスムーズに運びます。そのための丸ボケ探しなのです。
上の写真の街灯などは丸ボケとしては定番ですが、ほかにも色々あります。
丸ボケになるもの① 木漏れ日
この写真では木漏れ日が花や葉にあたり、局部的に光ることによってその部分がスポットの光源となっています。この丸は被写界深度が浅いほど大きくなり、深いほど小さくなります。
※被写界深度の説明は前回の記事を参照してください。
【前ボケ/真俯瞰/点景】簡単に、劇的に写真が変わる撮影テクニック3選
丸ボケになるもの② 水面に反射した光
水面も同じように細かく光を反射します。
これもうまく使えば、綺麗な背景になります。
動画で撮るとこの丸ボケがゆらゆらと現れては消えて綺麗になります。
丸ボケになるもの③ ガラスなどについた雨粒
ガラスに付着した雨粒も丸ボケになります。ガラスではなくビニール傘や他のものでも可能です。
おそらくこれは前ボケで撮ることで、活きてくることが多いでしょう。
このように丸ボケが入ることで光を感じる写真になります。それをうまく活用して自分なりの丸ボケ写真を撮ってみてください。
丸ボケの形
これらの丸ボケの形はレンズの絞り羽の数によって決まります。
絞り羽が5枚の時の丸ボケは五角形になり、8枚の時は八角形になります。
より綺麗な丸に近づけるには、やはり八角形以上はほしいところです。
今回の写真はすべて絞り羽9枚のレンズを使用しました。
光芒
光芒とは、主に街灯などを撮ったときに発生する光の線のこと。例えば↓
街灯が線を放っています。これが光芒です。
光芒を出すときのコツとしては、絞りは絞った方が良いです。F16や22くらいに絞り全体にピントがくるようにします。
三脚でなおかつスローシャッターで撮影がマストです。
光芒もまた絞り羽の数が関係しています。
絞り羽が偶数の場合は、絞り羽の数イコール光芒の数となります。
絞り羽が奇数の場合は、絞り羽の数×2が光芒の数です。
光芒の数が多い方がよかったので、絞り羽9枚で撮影しました。
この光芒の数の法則も覚えておくと、撮影の時に役に立ちます。
丸ボケも光芒も、光それ自体が変幻したものであり、強力な味方になります。
内蔵ストロボ
コンパクトカメラにも付いている内蔵ストロボ。
これは実はかなり使い道があります。
まだ少ないですが、スマホでも外付けのストロボとシンクロさせて使える商品が出ているようです。
◆参考商品
【世界初】iPhone用無線フラッシュコントローラ《Tric》 【iPhoneで外付けフラッシュ/ストロボが使える】iPhoneX対応 tric-100(Amazonリンク)
※OSによっては不具合が出るなど、相性がありそうな商品ですので購入の際はご注意下さい。。。
ここでは内蔵ストロボを使った写真を紹介していきます。
まずは実例から。
これはcanon s120のコンパクトカメラで撮影しました。
植物の緑は内蔵ストロボと相性がいいです。
黒い闇と緑は怪しい雰囲気が出るので組み合わせてみるといいと思います。
露出補正はアンダー気味で内蔵ストロボは強くもしないし弱くもしないで前からバチっとあてると、こんな感じに仕上がります。
これはポートレートの背景やアクセントにも使えます。
ここで最も大事な考え方は、光(ストロボ)が届いていないところは黒になっているということです。
あくまで光があたっているところだけが写り、他は黒で締まっているということが光の理解を深めます。
スローシャッター中にストロボを炊いても面白い
スローシャッター+ストロボ写真は、夜の街中スナップでも使えます。
スローシャッターなので街の明かりは揺れているが、ストロボが当たった部分は止まっています。
ストロボは一瞬の光なので、スローシャッターだろうが関係なく止まります。
ピントはストロボが当たる部分に合わせるのがコツです。
このスローシャッター+ストロボ撮影は、カメラが光を焼き付けるということを如実に表しているように思います。
WEBのインタビュー記事などで、この方法で撮っているのは多々見たことがありますが、これもまた現実との乖離が生まれ、非常に写真的だと言えると思います。
さらに味付けとして白飛びしている部分を作ると躍動感が出る
白飛びさせることでラフな感じに仕上がります。
女性を撮るときに顔に光を強めにあてると美肌効果もあり、おすすめです。
さらに雨や雪の夜の撮ると、雨粒や雪が止まります。
このようにしてストロボをあてることで、目には写らない世界が写ります。
それが写真の面白いところの一つです。
ちなみに露出補正はマイナスにしましょう。
※夜のオート撮影では、カメラが明るい設定にしてしまうため。
まとめ
今回は光を利用した即席テクニックでしたがいかがでしたでしょうか。
日中シンクロや、多灯ライティングなど、まだまだテクニックは存在しますがそれはまたの機会に。
写真にとって光は根源的なテーマです。ですので奥が深いです。
自分もまだ知らない光の使い方、沢山あると思います。
これから夏がやってきますが、見たこともないような新しい光に出会いたいものですね。
All photo by mPhoto @lensMz studio
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