昔に比べてカメラが入手しやすく、そして扱いやすくなったことで、カメラを自分で購入しポートレート撮影にチャレンジしてみようという方が増えてきました。
そこで多くの方が気になるであろう事柄が、「どのようなカメラを選ぶのか」といった問題です。中には、プロが使用するような本格的なカメラを購入した方がよいと考えている方もおられるのではないでしょうか。
結論から言えば、その必要はありません。比較的手に入りやすい入門機や、中古ショップて売られているような1、2世代ほど型落ちの中古カメラであっても、趣味の範囲でポートレートを撮るならば大きな問題はありません。
趣味のポートレートが中古カメラでも大丈夫な理由
「あまり性能のよくない中古カメラでポートレートを撮影するのは難しいのでは」と思われる方も少なくはないでしょう。しかし、使用する中古カメラに致命的な故障が発生していない限り、ポートレート撮影は十分可能です。その理由を解説しましょう。
被写体がそれほど動かない
いわゆる「フラグシップ」と呼ばれているような高級機の特徴として、AF(オートフォーカス)合焦や連写の速度が速いということが挙げられます。これは動きの激しいスポーツや野鳥などの撮影をおこなうプロカメラマンのニーズに合わせた性能で、そうした「動体撮影」には無類の強さを発揮してくれます。
しかし、被写体が激しく動き回るということが基本的にはそれほどないポートレートというジャンルの場合、そこまでの高い性能は「なければならない」といったことはなく、一昔前のAF速度や連写がそれほどでもないカメラ、あるいは入門機でも問題ありません。
そこまで解像度が求められない
近年のカメラボディはセンサー性能の大幅な向上により、高い解像度と画素数を誇っています。4,000万画素を超えるものも少なくはありません。
しかし、趣味の範囲でポートレートを撮影するならば、それほど高い画素数は必要でもないでしょう。よほど極端な数値でもないかぎり、画素数や解像度の高低によって質が大きく変わるかというと実はそうでもなく、たとえば風景写真のように「隅から隅まで鮮やかに見せたい」といったようなものでない限り、強くこだわらなくてもよいものです。
むしろ、高すぎる解像度や画素数はとくに女性ポートレートの場合、肌の荒れやシミまでもはっきり写し出し、逆に足かせになることもあります。逆説的ではありますが、解像度の低いカメラの方が総合的によい写真が撮れるということも少なからずあり得るのです。
ハードな環境で撮影をする機会が少ない
プロ使用の高性能カメラの利点として、高い防塵防滴性および耐久性が挙げられます。とくにフラグシップは過酷な環境で撮影を行うプロカメラマンのために、砂漠や雪山でも使用できるほどの徹底した対策がなされているのです。
しかし、趣味で行うポートレート撮影において、カメラにそこまでの丈夫さは必要なものではありません。落としてしまわないようストラップに装着し、雨の日の撮影にはレインカバーなどで対策すれば問題なく使えるでしょう。
あえて中古のカメラを選ぶメリット
次は、あえて最新機種を選ばず、中古カメラを選ぶメリットについて解説していきましょう。
コストがかからない
もっとも大きなメリットがこれです。場合によっては、最新の中級機や入門機を買えるお金で型落ちのプロ機が購入できることもあります。
ただし、あまり質のよくないショップだと、購入したものが壊れていてまともに使えないといったこともあるため、信頼性の高いところで事前に念入りな点検に加え万が一の保証がセットになっているものを購入されることをおすすめします。
レンズや機材に予算が回せる
中古カメラ本体の購入によってある程度お金を節約できれば、浮いた分のお金をレンズやストロボ三脚などの機材に使うことができます。
とくにレンズは画の出来を大きく左右するので、できるかぎりお金をかけたいところです。良品であれば、レンズも中古で購入するという選択も十分有効でしょう。
ピント合わせのテクニックを学べる
最近の機種に比べると、古いカメラボディに備わっているAF機能というものはどうしても差をつけられてしまいます。顔認証や瞳AFといったサポート機能がなく、AFエリアも狭いので、カメラマンの努力が必要です。
しかしその分、高性能なAFに依存せず、「ピントを合わせるためにはどうすればよいか」といったようなことを、使っていくなかで自然と学ぶことができます。これはカメラマンの技術に関する要素であり、意外と無視できません。
カメラに依存するマインドが生まれない
それに加え、カメラに「撮らされる」ことなく、自分の力で写真を撮影しようとする考え方を芽生えさせるきっかけにもなります。
それはつまり、撮影の失敗をカメラの性能が原因だと言い訳せず、「この環境できれいに撮るならどうすればよいか」といったようなことを冷静に分析するマインドを養えるというわけです。このマインドを成長させていけば、「弘法筆を選ばず」ということばの通り、どのようなカメラを使っても見ごたえのある写真を撮影できるようにもなるでしょう。
まとめ
本格的な撮影業務となると話は別ですが、あくまでも個人的な趣味でポートレート撮影をするならば、入門機や中古カメラでも問題はありません。
ただし、中古カメラには「まともに動かないものもある」というリスクがあります。信頼性の高い大手ショップでは購入者がそういったことで損を被らないよう、事前点検やトラブル保証などの対策をおこなっているので、フリマアプリよりもそうした場所で購入した方がよいでしょう。
参考記事
[sc name=”1203_studio_maiking” ]
[sc name=”773_instagram” ]
[sc name=”663_kozu” ]
[sc name=”461_umbrella” ]
コメント