2020年3月現在、ウイルスの影響でなかなか撮影に出かけられないという人も多いのではないでしょうか。
ここ最近はTwitterやInstagramでも撮影に出かける人を見かけることが少なくなっています。
しかし、そんな状況でもやはりカメラを楽しみたいという気持ちは溢れてくるばかりですよね。
そこで今回は、街中や自然の撮影スポットに出かけなくても十分に楽しめる「物撮り」の魅力とコツについてご紹介します。
今回のウイルスのような非常事態だけではなく、雨の日やなかなか出かけられない日でも使えるような情報もありますので是非ご覧ください。
物撮り=小さな世界観の表現
身の回りにある小物などを撮影する「物撮り」というジャンルは、いつでも好きな時にお手軽に撮影ができます。
しかし、それゆえにただ何も考えずに写真を撮ってしまうと退屈で魅力のない(スマホで適当に撮ったような)写真になってしまいがちです。
「ただの記録写真」を脱却して「作品」としての写真にするにはどのような点に気をつければ良いのでしょうか。
その秘密は、「物語り」にあります。
物撮りのコツ① 撮影する製品について知る
この世に存在する製品には、必ず作られた目的や作り手の想いがあります。まずは撮影したいと思った製品について、
「どんな使用用途を想定して作られたものなのか」
「どういったコンセプトでデザインされているのか」
を調べてみてください。
それが見つかるような製品を被写体として選ぶと撮影イメージは一気に湧いてきます。
簡単な例を上げましょう。
「カメラ」を被写体とする場合、カメラは「風景を映し出して写真として記録するもの」です。
こちらの写真はかなり直球的ですが、「工場夜景の撮影をしている姿」を撮影しました。
この時拘ったのは、カメラ全体ではなくモニターにピントを合わせたところです。
Nikonのカメラが見ている景色を際立たせ、さらにその先は玉ボケにして煌びやかな印象に仕上げるといったコンセプトで撮影しています。
物撮りのコツ② 光の使い方を意識する
ではここからは自宅でもできる物撮りについて触れていきます。
自宅で物撮りをするためには自然光やLEDライトを活用することが重要となってきます。
自然光の柔らかい光で撮った写真はノスタルジックな印象を与え、現代風にいうといわゆる「エモい」写真になりやすいのが特徴です。
逆にLEDライトを使った撮影は「作品」としての物撮りに有効です。
まずは作例を紹介します。
自然光での撮影
こちらの写真は右側の窓から自然光が差し込んできている中で撮影した写真です。撮影時刻は12:00前後でした。
(朝からお茶漬けを食べる気分ではなかったので…笑)
お昼頃の自然光となると太陽が登ってきて光も若干強くなるので、この時はカーテンレースだけ閉めて少し光を抑えました。
部屋の照明は消しています。
朝早くに撮影すればカーテン全開でも光の柔らかい状態で撮影が可能となります。
LEDを使った場合
逆にLEDライトなどの光を使った場合はどうなるのかを見てみましょう。
こちらは白と紫のかすみ草を撮影した写真です。左側からLED照明で光を当てています。
かすみ草の儚さを表現するために真っ白な厚紙を敷いて撮影しました。
印象としては光が強いため影が少し強く、カチッとしたイメージに仕上がっています。
どちらかというと「しっかりとした製品写真」を撮るにはベストな撮影方法なので、「アクセサリーそのものを際立たせて綺麗に撮りたい場合」などに有効です。
あると便利なアイテム
ここで、撮影時にあると便利なアイテムを紹介します。
マンフロットのミニ三脚
まずは、一家に一本は欲しいと言っても過言ではない便利アイテム「マンフロットミニ三脚|MTPIXI」です。
手に持ってもこの小ささで、卓上撮影を強力にサポートしてくれます。カバンにもすっぽり入るサイズなので、普段の野外撮影でも持っておけば何かと役に立ってくれます。
直接カメラの三脚穴に取り付けられるタイプになっているので三脚座要らずというのも嬉しいポイントです。
カメラは「NikonZ7」、レンズは「PC-E Micro Nikkor 45mm f/2.8D ED」という少し重ためなレンズですが、難なく自立しています。
今は所有していないのですが、以前使用していた「AI AF Micro-Nikkor 200mm f/4D IF-ED」という長く重たいレンズを取り付けても問題なく自立してくれたので、耐久バランスはとても良い製品です。
赤いマンフロットマークのボタンを回すと角度調節も可能なので、構図決めも簡単にできます。
私が室内で物撮りをする時はほとんどこのミニ三脚を使っています。
物撮り目的はもちろん、普段の撮影で三脚を立てるスペースがない場合の使用などにも活躍してくれるので、買って損はない一品です。
◆参考商品
参考:Manfrotto ミニ三脚 PIXI ブラック MTPIXI-B カメラ用(Amazonリンク)
参考:Nikon ミラーレスカメラ 一眼 Z7 ボディ(Amazonリンク)
参考:Nikon PC-E FX Micro NIKKOR 45mm f/2.8D ED(Amazonリンク)
参考:Iwata GL-01 117LED(Amazonリンク)
自宅での物獲りであると便利なのがコンパクトなLED照明です。
この商品の素晴らしいところは「コンパクトさ」と「三脚の雲台取り付け穴がある」というところです。
この様な板状のLED照明はカバンにスッと入るので持ち運びが便利な反面、立てかける場所に苦労するので通常は誰かにアシスタント役となってもらい、手に持ってもらう必要があります。
この商品はそんなコンパクトLEDの弱点を「三脚に取り付ける」という方法で見事に克服しています。
オススメなのは、「ゴリラポッド」という種類の三脚との組み合わせです。
ゴリラポッドは三脚の足の部分がグネグネ曲がる様になっていて、手すりや柱などに絡みつける事で好きな場所に固定する事ができます。
自立もするので、コンパクトLEDとの相性は抜群です。
※もちろん先ほどご紹介したマンフロットのミニ三脚にも取り付け可能です。
◆参考商品
参考:Joby ミニ三脚 ゴリラポッド 325(Amazonリンク)
簡易スタジオ
参考:撮影ボックス 撮影キット Orthland 撮影ブース (Amazonリンク)
今回の作例では使用していませんが、ただシンプルに撮影したい場合には有効かと思います。
◆参考:『簡易スタジオリスト』検索結果一覧(Amazonリンク)
撮影事例集
ではここからは、物撮りの作例集をご紹介していきます。
被写体①カメラ
普段は「撮影者」として活躍してくれるカメラですが、その造形美は被写体としても活躍します。
1.工場夜景とカメラ
こちらは工場夜景の撮影をしているカメラを被写体にした一枚。撮影者の手も加えることで、より一層その場の空気感を感じられるよう演出してみました。
左側から別の工場のライトが当たっているので良い感じになりましたが、そういった環境ではない場合は車のヘッドライトを当ててみるなどでも十分代用できます。
2.レンズを通して覗く世界
こちらはレンズのみ三脚に固定して後ろ玉にフォーカスして撮影した一枚。
カメラのレンズは後ろからみると光の屈折の影響で除いている世界が上下逆さまに写ります。
カメラ自身が最初に覗いている世界を表現してみました。
こちらは河川敷で夕方の自然光のみで撮影しています。
3.ファインダー越しの世界
フィルムカメラを使った、これこそファインダー越しの世界と言わんばかりの撮影方法です。
被写体は「Nikon F2 フォトミック」というフィルムカメラで、カメラ上部にあるファインダーに映し出された風景を直接撮影しています。
こちらは野外で撮影していますが、室内でフィギュアなどを被写体として映し出しても楽しいと思います。
参考商品:nikon F2フォトミック シルバー
4.自然光のフィルムカメラ
フィルムカメラとはその造形だけでも十分絵になるレトロな被写体です。
アンティークな風貌からノスタルジックさを感じるので、自然光での撮影がまさにぴったりです。
特に難しいことは何もしておらず、ただ「自然に入ってくる光の下にフィルムカメラをおいて撮影した」だけに過ぎません。
にも関わらず、勝手にストーリーが出来上がってしまっているかのような、どこか引き込まれる写真になります。
写真は撮影技術やカメラの性能も大切ではありますが、結局は「見る側の感性」に左右されるものなので、空間演出を大切にする方が良いのではないでしょうか。
被写体②フィギュア
ダンボーのフィギュアとフィルムカメラを一緒に撮影してみました。こちらも自然光が差し込む中での撮影となっています。
フィギュアはLEDライトで照らして撮影するイメージが強いと思いますが、実は自然光で撮影すると周りの景色もストーリーに組み込むことができるので「製品っぽさ」が抜けて良い感じになります。
参考:コトブキヤ よつばと! 完全変形ダンボー (Amazonリンク)
被写体③缶コーヒー
ただの缶コーヒーも自然光の中だと魅力的な被写体に変わります。
こちらは海沿いの防波堤に設置して撮影した一枚。
特にダイドーブレンドコーヒーは樽の形をした特殊な缶コーヒーで、味もさることながら被写体としても魅力十分なので、まさに「一度で二度美味しい」商品です。
青い海をバックに撮影すると爽やかで良いですよね。
気兼ねなく外出できるようになったら是非お試しください。
参考:ダイドードリンコ ダイドーブレンド ブレンドBLACK 185g×24本(Amazonリンク)
被写体④マグカップ
マグカップも演出次第では立派な被写体となります。
こちらはアウトドアグッズのブランド「snow peak」の無骨なマグカップ。
アウトドア製品らしく、野外での撮影です。
非常に軽いマグカップなので、緑の生茂る木の枝にひっかけてみました。
緑に囲まれた大自然で飲む入れたてのコーヒーを想像してみてください。
参考:スノーピーク(snow peak) チタンシングルマグ(Amazonリンク)
被写体⑤陶器
こちらは徳島県の有名な陶器「大谷焼」です。
食器を撮影する時はやはり食品が盛り付けられている方が綺麗に見えますよね。
今回はお茶漬けを作って自然光の中で撮影してみました。
自然光を選んだのは、食品をより綺麗に見せるためです。これがLEDの強い光だと白いご飯が白飛びしてしまって、美味しそうに見えなくなってしまいます。
自然光を使うことによって全体的に柔らかい印象になります。
大谷焼の綺麗な水色と鮭茶漬けのピンクの鮭、オレンジのあられが鮮やかなカラーバランスを実現しています。
被写体⑥花
花を被写体にする際、自然光での撮影もオススメですが、それは簡単に想像できると思いますので今回はLEDを使った「花の作品っぽい撮影」の作例をご紹介します。
先ほども少し触れたように、LEDを使って照らすと写真全体が均一の明るさになり、少し固い印象になります。
しかし、これを逆手にとって「全体的な白さ」を強調することで、花の白と紫の鮮やかさを際立たせるという方法を取りました。
このように、花の一部にクローズアップして撮影する場合、LEDライトで白い光を当てて背景も均一で真っ白にしてしまった方が「花の作品」っぽさが出てきます。
自然光だと光の強さを調節することができないので、「写真の右側は明るいけど左側は暗い」などと言ったことが起こります。
その場合、ナチュラルな撮影では雰囲気が出るのですが、作品ぽい写真にはなりにくいのでLEDを使うのもオススメです。
どんな時でも写真は楽しめる
今回の新型コロナウイルス騒動に限らず、「雨や台風」などの天候や「仕事で忙しくてなかなか撮影に行けない」といったスケジュール的な問題で満足にカメラを楽しめない瞬間は誰にでもやってくると思います。
そんな時でも自宅で簡単に撮影を楽しむことができるのが「物撮り」の良いところだと思います。
いま写真活動を自粛している人も、ぜひ試してみてください。
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