ストリートスナップ炎上事件から学ぶ!街中で撮影する際の注意点
どこで、誰を、何を撮ると問題になるのか、弁護士先生が解説しています。
目次
本記事は個撮(個人撮影)に反対する記事ではありません。
個撮の経験が浅い方でもトラブルなく撮影に臨める、より良い撮影の一助になれば幸いです。
最近は昔に比べてはるかに安価でカメラ他機材が揃えられるようになり、作品をSNSでアピールし易い環境にもなったため、趣味としてコスプレやポートレートなど人物撮影を行う方カメラマンやモデルが増えてきました。
イベントだけでなくSNSで交流する手段が出来たこともあり、不特定多数でなく個人間でカメラマンや被写体を依頼し合う個撮(個人撮影)も一般的になっています。
より拘った作品が発表されたり、作品を収録した媒体が販売されたりと活発になる一方で、カメラマンとモデルとの間に大なり小なりトラブルが発生しているというのもまた事実です。
今回は個撮で想定されるトラブル事例や、それらを回避するための対策・注意点について解説していきましょう。
なお、本記事では特定の事例については触れておらず、個別事例についてのお問合せには回答いたしかねます。
カメラマンとモデルとの間にトラブルが発生するリスクは、決して無視できるものではありません。ほんのささいな要因が争いやもめごとの原因となり得るのです。
もっとも多いのは、やはりお金に関することです。モデルとカメラマン、どちらが支払いをおこなう場合でも「当然支払われるべきものが支払われていない」「交通費を負担してくれなかった」といった理由から、言った言わないのいさかいにつながることがしばしばあります。
とくに、電話やボイスチャットなど声でやりとりをしている場合に起こりやすいです。
個撮で特に多いのが、性的行為に関するトラブル、いわゆる「セクハラ」です。たとえば、「ヌードや下着での撮影を強要された」「身体を触られたりひわいなことばを投げかけられたりした」といったような被害の訴えが、ネット上で少なからず投稿されています。それに加え、相手を傷つけるような暴言、蹴る殴るなどの暴行を受けたという方もいるようです。
たとえ自身に自覚がなかったとしても、相手がそう解釈すればセクハラとみなされる可能性は高く、最悪訴訟に発展します。
その他にも、トラブルの内容はさまざまです。
たとえば「許可してない写真を無駄でHPやSNSに掲載された」「事前に聞いてない内容の撮影を要求された」といったようなこともあれば、撮影時における衣装や構図、ポーズの取り方について互いに意思疎通ができず、なんだか互いにしっくりこない形での進行となってしまうこともしばしばです。
このようなトラブルが起こらないようにするために、個撮ではお互いの注意や配慮が非常に重要です。この項目で述べるポイントについて気をつけながら交渉や撮影を進めていきましょう。
特にお金に関する条件はトラブルの温床とも言えるもので、少しでも曖昧な取り決めがあれば、たちまちの内に言った言わないの騒動へ発展してしまいます。
だからこそ、撮影前に
・報酬はいくらか※
・いつ支払うのか
・どう支払うのか
・交通費は含むのか※
といったような事柄を文面に残る形ではっきりさせておくべきでしよう。とくに交通費を支払うか支払わないかは後々もめごとに発展しやすいため、詳細な金額を明記しておくのがおすすめです。
交渉記録としては双方にログが残るメールは有効です。逆に、LINEやSNSの場合は一方から削除可能なものもあるので注意してください。
ちなみに、スタジオ等の撮影場所については原則依頼する側が手配し、費用も負担するのが通例となっているようです。※
※趣味同士の場合には
①報酬無しのスタジオ料折半、交通費各自負担
もしくは
②報酬無しのスタジオ料は依頼主が負担、交通費各自負担
を推奨しています。お互い「撮って貰う」「撮らせてもらう」の意識を大切にしましょう。
また、マッチングサイトを経由する場合は手数料こそかかるものの、確実な支払いが行われるようシステムが整えられているので、経由しない場合と比較するとトラブルは起こりづらいです。
金銭的なお話以外については下記内容を参考に事前に決めておくとスムーズです。
お互い適切な準備ができますし、モデル側は自分がどのように撮られているのかといったことが把握しやすくなります。
・撮影した写真の用途(SNS、ブログといった媒体の種類の他、私的利用なのか商用利用なのか、依頼された側の利用範囲等)
・想定される撮り方や衣装(衣装種類、着替え枚数等)※1
・撮影場所や納品方法、納品期日
・双方のNG内容※2
※1構図や撮影方法は事前に全て把握するのは難しいので、NG内容を鑑みて当日相談しながら撮影しましょう。
※2「ヌード・水着・下着は不可」と一言書いておくだけでも、トラブルに遭遇する可能性を減らせるでしょう。
撮影中でも、互いに疑問や要望などがあればできる限り遠慮なく質問や提案をおこなっていきましょう。(もちろん言い方には気を付けて)
言いたいことをもやもやしたまま抱えていると、互ぎくしゃくした進行になることもあります。
モデルの嫌な感情が表情に出てしまったり、カメラマンの構図がいい加減になってしまったりと勿体無い撮影になってしまいます。
もし時間に余裕があれば、撮影前に喫茶店などで簡単な打ち合わせをして、お互いの疑問や要望などについて整理をしておくのもよいでしょう。
折角お互い日程・条件調整して撮影をしたいと集まっているのですから、お互い出せる案を出し合ってより良い撮影を目指したいですね。
セクハラを告発された側の言い分として「それがセクハラだとは思わなかった」といったことがよく述べられるようですが、相手や第三者から見てそう思われてしまえばそれはセクハラです。
下ネタを含んだジョークやボディタッチは当然として、はじめて組むこととなる相手であればなおさら気を使いましょう。
よく聞くトラブル例としてはポージングを提案する際、モデル本人では分かり辛い点をカメラマンは何の気なしに触れて直したつもりがセクハラとされてしまうケースです。
夢中になってしまうこともあるかもしれませんが、相手の了承のうえ触れる・ペンなどで意識する点を触れる等の気遣いがあると良いかも知れません。
パーティグッズではありますが、こういった指差し棒を二本入りで持つと捻るといったやや伝えづらい要望も伝えやすいかもしれません。
個人撮影の場所として、貸切スタジオだけでなく、ホテル(場合によってはラブホテル)を利用したがる人も少なくはありません。
こうした場所のチョイスは、たとえばはじめて組む相手の場合であっても適切なのでしょうか。
結論から申し上げると避けるべきです。
まずスタジオに関してですが、お互いがよいというのであれば問題はありません。しかし、他人と密室に入るわけですから、基本的に信頼できる相手であることが大前提です。
よって、スタジオ撮影を行う前に、ポートレートであれば野外撮影や撮影会、コスプレであれば大型イベントや共用スタジオ等で実績と信頼を積んでおいた方がよいでしょう。
ホテルに関しては更に厳しいところです。ヌードや特別な内装のホテルを使わなければならない限りは避けるべきでしょうし、必然性があった場合でも第三者の立会い等の対策をしても大げさではないように思います。
仮にラブホテルで性被害にあってしまった場合、第三者からはどう見えるでしょうか?(性行為をするところだから…)と思われてしまう可能性は想定できます。
ホテルや貸切スタジオに限らず良くわからないところに連れ込まれそうになった場合には一刻も早く立ち去りましょう。
他意は無かったとしても勘違いされてしまう可能性もありますので、よりトラブルの可能性が低いところで相手との関係を築きましょう。
『護身グッズを持てば大丈夫!』と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、撮影時ずっと構えている訳にもいきません。
力の差がある相手に対して背を向けて鞄まで向かうことすら難しいでしょう。
撮影の邪魔にならず効果のあるグッズなどありましたら問い合わせよりご連絡頂ければ幸いです。
個撮に関するトラブルの多くは、お互いの配慮によって回避できます。
最近はモラルのない参加者の迷惑行為が少なからず話題となっています。撮影に関わる活動をするのであれば、社会人として最低限の常識をわきまえた行動を心がけたいものです。
それに加え自分が被害者とならないために依頼主の評判等チェックを怠らず、信頼できるかどうかを見極めるようにしましょう。
折角よい撮影をしようとスケジュールや衣装、撮影機材等を用意したのですから、お互いトラブル無いように注意して、良い撮影パートナーを目指しましょう!
●個撮で最低限決めるべき条件・・・メール等ログを残す 不払い防止にはマッチングサイト
・報酬:いつ、いくら、どう支払うのか、交通費は含まれるのか(スタジオは原則依頼した側が負担)
・写真の用途:SNS・ブログ・紙媒体、私的利用なのか商用利用、依頼された側の利用範囲
・写真のイメージ:想定される構図や撮り方、衣装(枚数や種類、手配方法含む)、撮影場所(あくまで想定で当日相談する可能性もあります)
・NG内容:ヌード、水着、下着などお互いの難しい点を共有
・納品方法:いつまでに、最低何枚、どうやって納品するのか、その際のレタッチの有無(誰がするのか)
●撮影中はお互いコミュニケーションをとりながら
●セクハラかどうかは相手次第。何の気なしのポーズ修正も場合によってはセクハラ。配慮しましょう。
●密室での撮影は信頼関係が出来てから。どうしても必要な場合には第三者の立会いも視野に。
●護身グッズは過信しないこと。
●お互い安心して撮影に集中できるよう、配慮しましょう
●撮影概要
・日時:〇年〇月〇日 〇時~〇時
・場所:
●条件
・報酬:〇年〇月〇日、〇円(税込)、支払方法(振込/現金/その他)、交通費(含む/別途支払 〇円)
・用途:SNS/ブログ/紙媒体 私的利用/商用利用 依頼された側の利用範囲
・イメージ(あくまで想定):構図や撮り方( )、衣装( )合計( )枚
・NG内容:(ヌード、水着、下着、その他 )
・納品方法:〇年〇月〇日まで、〇枚以上、納品方法(データ共有サービス/記録媒体/印刷/その他 )、レタッチ(有/無 〇〇がレタッチする)
・その他(第三者の立会 細かな条件等)
bitamin00
カメラマン兼ライターです。 自分の経験を元に、みなさんの撮影に活用できそうな情報を提供していきます。
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bitamin00
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